カサンドラ・クロス

1976年にアメリカで公開された映画です。実際に映画館へ見に行ったのではなく、後にＴＶで放映されたのを見て衝撃を受けた映画です。

最初に見たのは間違いなく小学生の頃ですが、ラストへ近づいていくあたりからショッキングな映像が続きました。
最近はＴＶでもやってくれないので、ＤＶＤなどが出ていたら買っておこうかなと思っている作品です。

粗筋としては細菌兵器に感染したゲリラが大陸横断超特急に乗り込むところから話が始まります。
この細菌兵器による感染者が列車の中で発生し、次々と感染していきます。乗客の救出を急がなくてはならない状況になりますが、この細菌兵器が機密事項となっているため、軍部は列車ごと抹殺して証拠を消してしまおうとするのです。
その方法は列車の行く先にある鉄橋「カサンドラ・クロス」を爆破し、列車を谷底に落としてしまうというものでした…。

ある意味で密室となった列車の中で繰り広げられる人間模様が実に生々しく、子供の頃に見た映画であるにも関わらず強烈に記憶に焼きついていたりします。

最初は感染する前に列車から逃げ出そうとする人、それを感染の可能性がある人間を列車の外に出すわけにはいかないと止める人という簡単な関係だったのですが、後半でこの感染を食い止めるワクチン（だったかな？）が完成して全員が助かるはずなのに、それでも列車ごと抹殺しようとする軍部と一人でも多くの乗客を助けようと奔走する人たちという関係に変わっていきます。

子供心に「これでみんな助かるのに何で列車を落とすの？」と不思議でやり切れない気持ちで見ていたのですが、国家的な陰謀というものはこういうものなんでしょうね。
軍の兵士は上層部からの指示で動くだけ、そしてその上層部は機密保護を最優先にする。列車の乗客が全員死ねば機密は守られるというわけですね。列車の乗客を人間として見ていない非常に怖い世界があるというのを感じた瞬間です。
もっとも兵士が自分の考えだけで物事を判断して動くというのも危険極まりないことなので、この状況は正しいのかもしれませんが、それでもやり切れない気持ちがあるのは確かですね。

結局、鉄橋「カサンドラ・クロス」は爆破され、列車は多くの乗客を乗せたまま谷底に落ちます。その後の映像も実にショッキングでこれまた強く記憶に刻み付けられました。

同じようなパニック映画として有名なものにビル火災を題材にした「タワーリング・インフェルノ」というものがあります。こちらも非常に記憶に残る映画なのですが、衝撃の具合からすると私にとっては「カサンドラ・クロス」の方が上に感じましたね。

戻る